「砦なき者」野沢尚

【あらすじ】
報道番組『ナイン・トゥ・テン』に売春の元締めとして登場した女子高生が全裸で首を吊った。
恋人を番組に殺されたと訴える青年八尋樹一郎の姿は、
ライバル局の視聴率を跳ね上げた。
メディアが生んだ一人のカリスマ。
その邪悪な正体に気づいたのは、砦を追われたテレビマン達だった。
【感想】
破線のマリスのあとの話でした。偶然だけどこの順番で読んでいてよかったです。 
内容は天才犯罪者がのし上がっていこうとする中、
それに気付いた人たちが止めようとする、というもの。
こうやって書くとありふれた話かもしれないけど、 
マスコミを舞台としたその内容がすごかった。
あるニュースから始まって、そのネタを盛り上げようとするマスコミと、
そのマスコミを利用していく八尋樹一郎。
そして更にエスカレートしていって・・・
ここまではさすがに、と思う部分も一部ありながらも、
勢いのある展開がすばらしく、一気に読んでしまいました。
破線のマリスに比べるとエンターテイメント性が強くて、
そこがまた余計好みだったのかも。
超おすすめです。
しかしこんな面白いものを書ける人が亡くなっちゃったのは本当に残念だな… 
【おすすめ度】
★★★★★

砦なき者 (講談社文庫)
砦なき者 (講談社文庫)野沢 尚

おすすめ平均5つ星のうち4.0
5つ星のうち4.0メディアという力の怖さ。
5つ星のうち5.0ドラマとは違う怖さ
5つ星のうち5.0破線のマリス」を上回る
5つ星のうち4.0報道局としての倫理や報道のあり方にリアリティがあった
5つ星のうち5.0主従関係がいつの間にか逆転している点がスリリングな傑作


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