「りら荘事件」鮎川哲也

【あらすじ】
残り少ない暑中休暇を過ごすべく、秩父の『りら荘』に集まった日本芸術大学の学生たち。
一癖も二癖もある個性派揃いである上に各様の愛憎が渦巻き、
どことなく波瀾含みの空気が流れていた。
一夜明けて、りら荘を訪れた刑事がある男の死を告げる。
屍体の傍らにはスペードのA。
対岸の火事と思えたのも束の間、火の粉はりら荘の滞在客に飛んで燃えさかり、
カードの数字が大きくなるにつれ犠牲者は増えていく。
進退窮まった当局の要請に応じた星影龍三の幕引きや如何?
贅を尽くしたトリックと絶妙な叙述に彩られた、
純然たるフーダニットの興趣。
本格ミステリの巨匠鮎川哲也渾身の逸品。
【感想】
りら荘に集まった学生たちを襲う連続殺人を描いた本格ミステリ
現場にはトランプが残されて・・・と緊迫した状況が続きます。
まず人物に魂が感じられないのはいつも通り。
でもそんなのはどうでもいい。
論理的で緻密なトリックがすばらしいです。
そして相変わらずのトリック三昧。
こうかな?だからこの人かな?なんて想像しながら読んでいても、
それを裏切ってくれる見事な展開。
パズル的ミステリとしてすばらしい。傑作と呼ばれるのもわかります。
というわけでそういうミステリを好む方にはおすすめです。
ただ物語性を求める方には相変わらず向いてません。
50年前の作品ということで人を選びますが、
好きな方は好きだと思います。
【おすすめ度】
★★★★★

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鮎川 哲也

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