「海の底」有川浩

【あらすじ】
四月。桜祭りでわく横須賀米軍基地を赤い巨大な甲殻類が襲った!
次々と人が食われる中、潜水艦へ逃げ込んだ自衛官と少年少女の運命は!?
ジャンルの垣根を飛び越えたスーパーエンタテインメント!
【感想】
人を食う巨大エビの大群が横須賀に襲来。
潜水艦に逃げ込んだ子供たちと乗組員を描いた物語。
最初に言っときます。最高でした。
読み終わってちょっとたった今もまだ余韻に浸ってます・・・


物語は2つの視点に分かれていて、片方は上述した潜水艦の中。
もう一方は巨大エビを食い止めようとする警察の話。
警察のほうも見所たっぷりで、未知の生物と戦う決死の緊迫感がたまりません。
自衛隊の出動有無、米軍の管理区域、など政治的要素も絡みます。
しかし!
それ以上に最高だったのは潜水艦の中です。
大人二人とたくさんの子供たち。
生活するにはあまりに不自由な空間で数日間過ごすわけですよ。
そんな状況が子供たちの歪さをあらわにし、
ぶつかり合って少しずつ変化が生まれていきます。
嫌な奴もいる、臆病な奴もいる、逃げてばかりのやつもいる。
でもそいつらが狭い空間でずっと一緒だから、
わずか数日で加速度的に変化が生まれていくんです。
これは非日常だからこそ起きること。
この非日常下での生活こそがこの作品の魅力です。
そしてラストも完璧で思ってた以上の満足感と余韻を与えてくれました。
万人におすすめできる傑作です。是非どうぞ。
【おすすめ度】
★★★★★

海の底 (角川文庫)海の底 (角川文庫)
有川 浩

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