「KAGEROU」斉藤智裕

【あらすじ】
KAGEROU』―儚く不確かなもの。
廃墟と化したデパートの屋上遊園地のフェンス。
「かげろう」のような己の人生を閉じようとする、絶望を抱えた男。
そこに突如現れた不気味に冷笑する黒服の男。
命の十字路で二人は、ある契約を交わす。
肉体と魂を分かつものとは何か?人を人たらしめているものは何か?
深い苦悩を抱え、主人公は終末の場所へと向かう。
そこで、彼は一つの儚き「命」と出逢い、かつて抱いたことのない愛することの切なさを知る。
水嶋ヒロの処女作、哀切かつ峻烈な「命」の物語。
【感想】
ポプラ社大賞とやらで一世を風靡した本作。
自殺をしようとした男が臓器を買い取ろうとする男と出会って、
死に向かいながら生きることについて想いを巡らす・・・という話。
30分程度で読み終わってしまうので印象としては短編に近い。
話題は散々耳にしていたのである程度先入観があったのですが、
結論から言うと思ったより悪くなかった。
あらすじだけ読むとやや気取った作りの漫画的な話に思えてしまうけど、
内容はそこまでかっこつけた話じゃない。
この非現実的な雰囲気は世にも奇妙な物語に近いのかも。
ただこういうリアルティの薄い設定にするなら、
半端に現実感を演出するのはやめて欲しかった。
具体的な設定や工作の部分は省いてしまって、
フワフワとした幻想的な話にしたほうがまだ良かったように思う。
そしてオチもちょっと・・・
俳優が小説デビューしてこれ!と言われたらすごいと思うけど、
これが賞をとったと言われると、話題作りなのかなと感じてしまいます。
ちなみに散々言われてたダジャレは別に違和感なかったです。
あれを言われるのはちょっとかわいそうだ。
【おすすめ度】
★★☆☆☆

KAGEROUKAGEROU
齋藤 智裕

ポプラ社
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