「舟を編む」三浦しをん

【あらすじ】
玄武書房に勤める馬締光也。
人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。
そして仲間たちとともに新しい辞書を完成させるために奮闘する。
果たして『大渡海』は完成するのか―。
【感想】
辞書編集部が新しい辞書を作り上げるまでを描いた物語。
主人公は馬締ですが、数人の視点から描かれる群像劇でもあります。
すばらしかった。
まず辞書を作り上げるまでの舞台裏が面白い。
こんな視点があって、こんな苦労があって、
こんなにも時間がかかるものなんだ、って思い知らされます。
そして辞書にかけるみんなの想いの熱さ。
作中で"自分が使った辞書なんて覚えてないよ"という一般の登場人物がいますが、
私も辞書にはその程度の気持ちしか持っていません。
でも作中の登場人物たちは熱いんですよ!辞書と言葉を愛してるんです。
そしてそうではない人達も、言葉を愛する仲間と辞書を作ることに喜びを感じている。
そういう熱さと温かさのいっぱい詰まった小説でした。
唯一物足りない部分をあげるなら、短いことです。
そのせいでさらっと過ぎて行ってしまうし、軽さも感じます。
でもこういう書き方も悪くないです。
深くて濃い物語も読んでみたいですけどね。
というわけで誰にでもおすすめできるすばらしい作品でした。
おすすめです。
【★★★★★】