「64 ロクヨン」横山秀夫

【あらすじ】
警察職員二十六万人、それぞれに持ち場があります。刑事など一握り。
大半は光の当たらない縁の下の仕事です。
神の手は持っていない。それでも誇りは持っている。
一人ひとりが日々矜持をもって職務を果たさねば、
こんなにも巨大な組織が回っていくはずがない。
D県警は最大の危機に瀕する。警察小説の真髄が、人生の本質が、ここにある。
【感想】
D県警を舞台とした警察小説。広報官が主人公。
濃かった。濃密な作品だった。
そしてもちろん面白かった。
主人公は刑事課から広報に異動になっただけで、
決して広報官になりたかったわけじゃない。
でもなったからには信念をもってやろうと決意する。
しかし・・・という出だしで物語は始まります。
まず組織のあり方があまりにリアルで驚きました。
さすが横山秀夫
トップの勝手な思惑とそれに振り回される主人公。
その中で起きる部署同士の縄張り争いに潰しあい。
その裏で暗躍する男。未解決事件。長官の視察。
主人公はそんな状況で必死にもがいて自分のあり方に悩みながら、
自分の取るべき道を探り続けていきます。
この作品は全てが濃密にからみ合って、それでいてリアル過ぎるほどリアルな世界を描き出してます。
理不尽なこともいっぱいあるんだけどそうせざるを得ない気持ちが痛いほどわかる。
これ以上濃い警察小説を知りません。
そしてこの小説はけっこう長いんですが、終盤がまたすごい。
あの結末には驚かされました。あれがそう来たかと。
警察小説としては文句なし。
おすすめです。
【おすすめ度】
★★★★★