「首無の如き祟るもの」三津田信三

【あらすじ】
奥多摩の山村、媛首村。淡首様や首無の化物など、古くから怪異の伝承が色濃き地である。
三つに分かれた旧家、秘守一族、その一守家の双児の十三夜参りの日から惨劇は始まった。
戦中戦後に跨る首無し殺人の謎。驚愕のどんでん返し。
本格ミステリとホラーの魅力が鮮やかに迫る。
「刀城言耶」シリーズ傑作長編。
【感想】
ホラーとミステリの合いの子のような作品。でもミステリ。
シリーズの3作目ですが、この作品から読んでも十分おもしろいです。
古くから伝わる祟りや伝統、そのための儀式などが残る村で、
凄惨な事件が起きます。
しかしとても人が行ったものとは思えず、その舞台の状況からするとまるで・・・。
このいろんなジャンルの融合、バランスが見事です。
ホラーのような部分もあるから読んでてゾクッとさせられるし、
その世界に浸るための雰囲気作りがしっかり行われていて、
古くからの伝統を伝えるがゆえの歪んだ風習にも引き込まれるものがあります。
それでいてミステリの論理性もしっかり保たれてる。
読みやすいし続きが気になるからスラスラと読めてしまうし、
その最後の結末たるや・・・。
難解で全く意味のわからない事件が、
たった一つの事実だけで一気に解けるあの瞬間は爽快でした。
気持ちよかった。
おすすめです。是非読んでみてください。
京極堂シリーズが好きな人は楽しめると思います。
【おすすめ度】
★★★★★