「下町ロケット」池井戸潤

【あらすじ】
主人公・佃航平は宇宙工学研究の道をあきらめ、実家の佃製作所を継いでいたが、
突然の取引停止、さらに特許侵害の疑いで訴えられるなど、大企業に翻弄され、会社は倒産の危機に瀕していた。
その一方で夢であるロケットエンジン部品開発への想いも残っていて・・・。
かっこいい大人たちの熱い企業小説。
【感想】
ロケットエンジンの研究に失敗し、中小企業の社長となった男が主人公。
内容は大きく2つにわかれます。
まずは特許に関わる話。
主人公の会社は優れた技術を持っているんだけど、
それを狙った大企業に訴えられてしまう。
訴えられたことで状況がどんどん苦しくなっていく中で、
戦い続けます。
そしてもう一つは夢を追う話。
主人公がロケットエンジン部品製作という夢を追いかけます。
このどちらも苦しいほどリアルなんですよ。
どうみても正当性は主人公側にあるのに、
知財のケアが不十分なために劣勢に立たされるのもそうだし、
目の前の儲けを捨ててでも夢を追いたい主人公と、確実な利益を手にしたい社員たちの対立もそう。
そしてそこへ立ちはだかる大企業のプライドも。
こういう問題って誰もが納得する答えなんてありません。
でも主人公はその中で悩み続けながら、自分の答えを導き出していきます。
夢を追うものとして、社長として、父親として、どうすべきでどうしたいのかを。
これがすばらしく面白かった。
夜中でも読むのが全くやめらなかった。
テンポもいいし、あっという間に読み終わってしまいました。
終盤の熱さもすばらしかったです。
おすすめ。
【おすすめ度】
★★★★★