「夜の底は柔らかな幻」恩田陸

【あらすじ】
特殊能力を持つ“在色者”たちが、“途鎖国”の山深くに集まる“闇月”。
殺戮の風が、次第に暴れ始める―。殺人者たちの宴が、幕を開ける。
【感想】
イロと呼ばれる超能力を持つ者の聖地“途鎖国”に潜入した主人公。
主人公の目的は?それを果たすことはできるのか?
そして数々のキーワードたちは何を意味しているのか?というサスペンス風の作品。
まず単純にサスペンスものとして楽しい。
目的が不明確な主人公、緊迫の密入国、そして因縁の敵、などなど、
ドキドキハラハラさせてくれる展開が多い。
そして徐々に明らかになっていく謎や、
超能力を持つ者同士の戦いなど、見どころも多い。
というわけで全体としては面白かった。
気になる展開が続くし、重くもないので一気に読める。
ただし!
前半〜中盤の盛り上がりに比べると、終盤はストンと終わってしまう。
一応伏線は回収されるけど、やや物足りない。
人物や設定が十分に広がっていたので、
あと1巻くらい足してもいいんじゃないかというくらいだった。
正直恩田陸のファンタジー系の作品には
このパターンが多い気もするけれど。
主人公の物語さえ終わってしまえば、パズルのピースはそろわなくてもいい、みたいな・・・。
ミステリ系の作品は違うんだけどなぁ。
というわけであと1巻あれば傑作だったけど、
それでも作品としては十分に面白かった。
おすすめ。
【おすすめ度】
★★★★★