「のぞきめ」三津田信三

【あらすじ】
辺鄙な貸別荘地にバイトに来た若者たち。
彼らは禁じられた廃村に紛れ込み恐怖の体験をしたあげく、
次々怪異に襲われる。
そこは「弔い村」の異名をもち「のぞきめ」という化物の伝承が残る、
曰くつきの村だったのだ…
【感想】
のぞきめ、という怪異を描いたホラー。
怖さは最初の刀城シリーズくらい。恐いけど面白かった。
まずこの作品は著者自身が収集した怪異譚という設定で語られる。
友人から聞いた前半部分と、ある民俗学者のノートから成る後半部分。
その設定のせいでまるで実話のように感じられて、わかっていても怖い。
そしてまず前半はしっかりとしたホラー。
ある別荘地でバイトをする若者たち。
寂しい雰囲気、不自然な指示、行ってはいけない場所、
でも彼らはそこへ行ってしまって・・・。
そして後半はある民俗学者の体験記。
こっちも恐い。でもこちらの怖さは刀城シリーズのような怖さ。
閉鎖的な村、あやしい村人、禁じられた何か、触れてはいけない何か、
そして・・・。
どちらも同じものを扱ってて恐いけど、その怖さが違う。
そして最後に作者による解釈があるんだけど、
ここは見事にホラーとミステリの融合ができてた。
全部解くわけじゃないけど、一部に解釈を与えてくれる。
刀城シリーズのような感じ。
というわけで刀城シリーズとして書いても面白そうな内容だったし、
大満足でした。
刀城シリーズが好きなら是非。
【おすすめ度】
★★★★★