「硝子のハンマー」 貴志祐介

【あらすじ】
エレベーターに暗証番号、廊下に監視カメラ、隣室に役員。
厳戒なセキュリティ網を破り、社長は撲殺された。
凶器は? 殺害方法は?
弁護士純子は、逮捕された専務の無実を信じ、防犯コンサルタント榎本のもとを訪れるが…。
【感想】
密室もののミステリ。貴志祐介らしからぬ(?)本格もの。
前半は探偵側から、後半は犯人側から描かれます。
前半は探偵役の防犯コンサルタントが密室の謎を徹底検証。
あーでもないこーでもないと試行錯誤を繰り広げます。
この探偵役の設定がなかなか変わっていて、これはなかなか良いです。
キャラクターとしてはちょっと硬すぎる気もしますけど。
あとはトリックやその周辺の設定や描写が細かくて丁寧です。
そこまでリアルに書くか!ってくらい。
ミステリとしては良かった。
一方で後半の犯人側の視点のほうはというと、
エピソードや解答としては悪くないのですが、
全体としてみるとこの犯人視点のせいで読後感が悪い。
これならいっそパズル的ミステリにして前半だけでも良かったんじゃないかと思えてしまう。
もしくは犯人視点のところで違う主張をぶつけさせるとか。
面白かったけど惜しかった作品でした。
【おすすめ度】
★★★★

硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)
硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)貴志 祐介

おすすめ平均5つ星のうち3.5
5つ星のうち3.0貴志祐介には珍しい本格的推理もの
5つ星のうち4.0シリーズものとして続けてほしい作品
5つ星のうち5.0面白い。
5つ星のうち5.02段構成
5つ星のうち3.0一緒に考えよう?


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