「魍魎の匣」京極夏彦

【あらすじ】
匣の中には綺麗な娘がぴったり入ってゐた。
箱を祀る奇妙な霊能者。
箱詰めにされた少女達の四肢。
そして巨大な箱型の建物。
箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。
探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。
果たして憑物は落とせるのか!?日本推理作家協会賞受賞作。
【感想】
京極堂のシリーズで一番好きなのが本作です。
あらすじの通り、ばらばら殺人、誘拐事件、その他諸々が巻き起こる。
そしてトリックを語る話じゃないです。
ミステリ的要素だけ抽出したらトンデモ展開です。
でもそんなのはどうでもよくなるんですよ!
更に相変わらずべらぼうに長いですが、それも気にならない!
このシリーズの面白さを伝えるのにいい言葉が浮かばないのですが、
とにかく世界観と雰囲気がすばらしいです。
だらだら喋ってるようで慎重に積み上げられていく作品世界とそれを支配する考え(テーマ)。
読者は、喋りが長いなーなんて思いつつも知らぬ間に思考が取り込まれていく。
そしてそれがあるからこそ生きる結末やトリック。
はまったときの快感はすばらしいです。
ただ世界に入りこめないと作品の長さも手伝って残念な気持ちになりますけど。
この魍魎の匣はどっぷり浸かることができた作品です。
読んでると薄々事件の真相らしきものは掴めてきます。
しかし本当に怖いのはそこから。
解決していくカタルシスはいつも通りですが、
その犯行の動機、そして・・・あの言葉。
余韻がすばらしいです。
しばらくぼーっとしてしまいました。
できれば姑獲鳥の夏のあとがいいですが、
この作品から読んでも大丈夫です。
分厚いから一冊だけ読んでみよう、と言う方は是非この魍魎の匣を。
おすすめです。
【おすすめ度】
★★★★★

魍魎の匣 (講談社ノベルス)
魍魎の匣 (講談社ノベルス)京極 夏彦

おすすめ平均5つ星のうち4.5
5つ星のうち1.0なぜこんなに長いの?
5つ星のうち5.0身震い
5つ星のうち5.0
5つ星のうち4.0なんと、二度目でも面白く読める!
5つ星のうち4.0匣の中身


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