「ハーモニー」伊藤計劃

【あらすじ】
21世紀後半、「大災禍」と呼ばれる世界的な混乱を経て、
人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。
医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する“ユートピア”。
そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択した―
虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。
第30回日本SF大賞受賞、「ベストSF2009」第1位、第40回星雲賞日本長編部門受賞作。
【感想】
病気もいじめも何もない愛に溢れた理想的な社会。
そんな未来を描いたSF作品。
そしてこの世界に息苦しさを感じるトァンが主人公。
これは面白かった。
まず読みやすい。最後までスラスラと一気に読めました。
虐殺器官で感じた読みづらさはないです。
そして何よりも設定と、物語の終着点がすばらしい。
一見すばらしい世界にみえるけど、
窮屈で息苦しいこの世界。
世界がこうなった経緯と、その理由が説得力のある形で展開され、
物語が最後に行き着く先は・・・まさにユートピアの一つの形。
中盤以降は物語自体も大きく盛り上がって楽しめた作品でした。
SF好きにはおすすめできます。
ちなみに虐殺器官の続編ではありますが、
虐殺器官を読んでいなくても問題ない程度の繋がりです。
しかしこんないい作品を書く人が亡くなってしまったとは・・・本当に惜しい。
【おすすめ度】
★★★★★

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)伊藤 計劃

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