「サクリファイス」近藤史恵

【あらすじ】
ただ、あの人を勝たせるために走る。それが、僕のすべてだ。
勝つことを義務づけられた〈エース〉と、それをサポートする〈アシスト〉が、
冷酷に分担された世界、自転車ロードレース。
初めて抜擢された海外遠征で、僕は思いも寄らない悲劇に遭遇する。
それは、単なる事故のはずだった――。
二転三転する〈真相〉、リフレインの度に重きを増すテーマ、押し寄せる感動! 青春ミステリの逸品。
【感想】
ロードレースを舞台に描かれる青春小説。
ミステリ要素はありますがミステリだとは思わないほうがいいです。
ページ数があまり長くないので一気に読めちゃうし、
スポーツものとしても、ミステリとしてもサラッと軽い作品。
でも面白い。
アシストに徹する主人公が視点となって、
自分の役割、理想、エースとの関係などに想いを巡らせます。
ロードレースならではの特殊な関係から生まれる心情もいいし、
行われるレース自体も面白い。
そして読み終わったあとのあの余韻。
そういうことだったのか、と全てが氷解したあとのラストは、
きれいで前向きだけど悲しい。
ロードレースという題材を最大限生かした物語だと思います。
ロードレースの知識がほとんどない私でも楽しめたので、
ロードレース好きな人ならもっと面白いと思います。
おすすめ。
【おすすめ度】
★★★★★

サクリファイスサクリファイス
近藤 史恵

新潮社
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