「四度目の氷河期」荻原浩

【あらすじ】
人生を語るには、早すぎるなんて言わせない。
ぼくは今日から、トクベツな子どもになることにした―
何をやっても、みんなと同じに出来ないワタルは、
ある日死んだ父親に関する重大な秘密を発見する。
その瞬間から、少年の孤独なサバイバルゲームは始まった。
【感想】
父親のいない少年の成長を描いた青春物語。
父親に関する秘密を発見した少年が、
そこに自分なりの説明や解釈を加えて自分の一部にして生きていく。
物語自体は、遊んだり、恋をしたり、部活をしたり、
勝ったり、負けたりと、いたって普通の青春もの。
ただ描き方がうまい。
"自分は普通じゃない"という誰しもある程度は抱えててもやもやしてる悩みが、
父親の秘密という設定のおかげでくっきりと浮き出てる気がする。
みんなとは違うんだぞ!だって俺は!というある種の開き直り。
でもそれでいて誇りのように大切なもの。
自分を保つために必要なもの。
その辺りの柔軟だけど危うい子どもの感情がよく伝わってくる作品だと思った。
全体的に地味で平坦だけど、別にそれは悪くは感じない。
さらりと読める作品。恋の話も好きだった。
最後はまあ・・・あれも若さか。
良作でした。
【おすすめ度】
★★★★☆

四度目の氷河期四度目の氷河期
荻原 浩

新潮社
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