「魔術はささやく」宮部みゆき

【あらすじ】
それぞれは社会面のありふれた記事だった。
一人めはマンションの屋上から飛び降りた。
二人めは地下鉄に飛び込んだ。
そして三人めはタクシーの前に。
何人たりとも相互の関連など想像し得べくもなく仕組まれた三つの死。
さらに魔の手は四人めに伸びていた…。
だが、逮捕されたタクシー運転手の甥、守は知らず知らず事件の真相に迫っていたのだった。
【感想】
ミステリ風だけどミステリとして読むのはおすすめしません。
序盤は完全にミステリとして進みます。
主人公が養父の無罪を証明しようとするうちに、
女たちの繋がりが見えてきて・・・と話は展開していくんです。
ただその真相や犯人は終盤に至る前にあっさりわかってしまいます。
そしてその手口も少し・・・と思ってしまうような内容。
ただ物語はそのあとが一番盛り上がります。
主人公の葛藤や心の動き、事件に関わった人たちの内面といった、
人間の心理がしっかり描写されながら話が進んでいって、それが面白いです。
全体的な構成もうまくできているし、
気になるところもいくつかありましたが、
さらりと読める良い作品だと思います。
【おすすめ度】
★★★★☆

魔術はささやく (新潮文庫)魔術はささやく (新潮文庫)
宮部 みゆき

新潮社
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