「永遠の0」百田尚樹

【あらすじ】
「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。
そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。
終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。
天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、1つの謎が浮かんでくるーー。
記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。
【感想】
若くして特攻で死んでいった祖父のことを知っていく物語。
最初に言っておきますが、戦争ものは基本的に嫌いです。
この作品も最初に戦争ものだと知ってたら読まなかったと思います。
でも知らなくて良かったと今は思う。
物語は主人公の姉弟が祖父のことを知る人達を訪れて、
少しずつ各戦地、各時期の祖父の姿を聞きながら進んでいきます。
そこには良いものから悪いものまでいろんな話があって、
ちょっとずつ祖父の姿が見えてくる。
戦争末期の話だから当然描かれるエピソードに辛い話が多いんだけど、
あくまで祖父のことを語ってるから重苦しさが抑えられている印象。
文章も読みやすい。
ただ登場人物たちの会話から作者の戦争に対する意見みたいなのが感じられる部分があって、
そこは少し苦手だった。
そういうところがあると登場人物が物語の生きた人物として感じられなくなっちゃうし。
ただそれ以外はすばらしい。
特に祖父の死に近づいていく終盤は見事と言う他ない。
全体の8割くらいまで読んだときは、なかなかだなーと思ってたけど、
最後で印象が大きく変わった。
戦争ものが苦手な方でも是非一度読んでみて欲しい一冊です。
【おすすめ度】
★★★★★

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