「温かな手」石持浅海

【あらすじ】
それぞれのパートナーと同居しているギンちゃんとムーちゃんの兄妹は、
一風変わった名探偵だ。
実は彼ら兄妹は、人間の生命エネルギーを糧にする謎の生命体。
宿主であるパートナーの「おいしい」清らかな生命エネルギーが濁らないように、
偶然遭遇した殺人事件や騒動を、鋭い観察をもとに鮮やかに解き明かす。
個性的な設定とシャープな謎解き、そして切なさが魅力の連作ミステリ。
【感想】
各話30ページくらいの連作ミステリ集。
探偵役が「人間から生命エネルギーを吸い取る謎の生命体」という設定が特徴的。
ただし見た目は人間だし、普通に生活をしているので、
この設定を特別生かしたストーリーというわけでもない。
起きるのは身近で起きる殺人事件などだけど、
どれもものすごく淡々と進行していく。
しかも事件を見た瞬間に探偵役が、
え?こういうことでしょ?とあっという間に解決しちゃう。
この現場の状況からの論理的思考プロセスが楽しい。
文章は読みやすくて、各話も短いから、気軽にサラっと読める作品。
あと全体的に淡々としていて、それは狙ってるんだろうけど、
もうちょっと感情が濃いほうが好みかも。
しかしエネルギーを吸われるからいくら食べても太らない、って設定はうらやましかった。
【おすすめ度】
★★★☆☆