「ヒア・カムズ・ザ・サン」有川浩

【あらすじ】
出版社で編集の仕事をしている真也は、
幼い頃から物や場所に残された人の記憶が見えた。
ある日に空港に行った真也はそこで同僚のカオルの父親と出会う。
しかし映画の脚本家だというその父親からは、
全く別の記憶が見えた。
【感想】
わずか7行のあらすじから誕生した2つの小説、らしい。
人の記憶が少しだけ見える主人公が、
映画脚本家というヒロインの父親の記憶にウソを見つけて・・・という設定だけが共通。
まずこの本には2つの話が入ってます。
一つはヒア・カムズ・ザ・サン
もうひとつはヒア・カムズ・ザ・サンParallel。
Parallelのほうは舞台のほうをノベライズしたようなもの、らしい。
まずヒア・カムズ・ザ・サンのほうから。
こちらは繊細で柔らかい話。
序盤の編集と作家のやり取りからして雰囲気がすごく良くて、
そのあとは主人公とカオルの関係、更に父親の謎へとつながっていく。
さらりと読めるんだけど、きれいで感動できる話に仕上がってました。
有川浩らしい話かな。
後半のParallelのほうは正直個人的には読む価値がないです。
なまじ設定が同じだけに人物像や設定が重複して混乱するし、
こっちの人物は全く好きになれない・・・。
妙にアクが強いし大げさだし。
こういう企画だから2本入ってるんだろうけど、
正直前半の話だけで良かった気がしました。
★4というのは前半だけの評価です。後半のほうは2かな。
というわけで前半は100ページほどの短編ですが、
良作だったと思います
【おすすめ度】
★★★★☆