「シャイロックの子供たち」池井戸潤

【あらすじ】
ある町の銀行の支店で起こった、現金紛失事件。
女子行員に疑いがかかるが、別の男が失踪…!?
“たたき上げ”の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、
上らない成績…事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤。
銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮すことの幸福と困難さに迫った傑作群像劇。
【感想】
ある銀行の一支店を舞台にした物語。
一話ごとに違う人物が主観になっていて、
銀行という企業のリアルな部分を描いた作品になっている。
理不尽な上司に翻弄される男、翻弄する側の上司、
恋に生きようと思う人、重圧に耐え切れなくなる人、大事なものを見失う人、
そんなリアルな生き方が一話ごとに描かれている。
そして全体としても一つの事件を描いたミステリになっていた。
ただミステリとしてよりも企業小説としての印象が強かった。
さすがのリアルさでした。生々しすぎるほどに。
良作でした。
【おすすめ度】
★★★★☆