「カラスの親指」道尾秀介

【あらすじ】
人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。
ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。
やがて同居人は増え、5人と1匹に。
「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さない。
各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは?
息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。
【感想】
闇金に恨みのある詐欺師たちが復讐へと動く話。
面白かった。
詐欺から始まる導入がまず引き込まれるし、
その二人が抱えてる闇もこの作者らしくて実にいい。
そして途中からは他人同士の生活が始まるんだけど、
この生活の様子も好きだった。
幸せだな、これも家族だなって。
そして終盤の計画へと突入していって、
驚きの結末へと繋がっていった。
この結末だけはちょっとアンフェアで気に入らなかったかな。
今まで龍神の雨、ラットマン、と読んできたけど、
それに比べて今回はかなり明るい雰囲気だった。
導入部分や前半はいつも通りなんだけど、中盤以降はかなり軽め。
そういう意味では重い作品が苦手な人にも受け入れられる作品だと思う。
逆に龍神の雨やラットマンが好きだと違和感があるかも。
私はどっちも好きだから楽しめたけど、ちょっと中途半端な印象も受けた。
こういう明るい感じでいくなら5人の登場人物をもっと描いて深掘りして欲しかったかな。
逆にいつも通りなら最初の二人だけでも良かったかもしれないし。
そしたらもっと好きな作品になったと思います。
読後感はいいし、おすすめしやすい一冊です。
【おすすめ度】
★★★★☆