「永遠の仔」天童荒太

【あらすじ】
霧の霊峰で一人の少女・久坂優希と二人の少年が起こした聖なる事件。
その秘密を抱えたまま別れた三人が、17年後再会した。
そして過去を探ろうとする弟の動きと殺人事件の捜査によって優希の平穏な日々は終わりを告げた-。
【感想】
子供のころにある事件を起こしたらしい男女3人。
彼らが17年ぶりに再会したとき、彼らの生活がまた歪みはじめて・・・という物語。
物語はその事件までの子供時代と、歪んでいく現在が交互に描かれます。
このあらすじからするとサスペンスっぽい雰囲気もありますが、
実際はあまりそういう系統の話ではありません。
それっぽい事件も起きるんですが、それ以上に深さを感じる作品です。
子供にとっての親ってなんだろう、生きるってなんだろう、といった根本的な部分を、
彼らの苦悩を通して描き出している気がします。
正直重くて暗くて救いのない話です。
でもつまらない作品ではないんですよ。読む手は止まりませんでした。
過去に何があったのか、この先に何が起きてしまうのか、
彼らにどんな未来があるのか、
それが気になって仕方なかった。
読み終わったときにいろいろと考えさせられました。
万人におすすめできるタイプの作品ではないですが、
読んだ人の価値観を少し変えるかもしれない、すごい作品だと思いました。
【おすすめ度】
★★★★☆