「眩暈」島田荘司

【あらすじ】
切断した男女の死体が合成され両性具有者となって蘇る。
窓の外には荒涼たる世界の終焉の光景が広がっているばかりだ。
占星術殺人事件」を愛読する青年が書きのこした戦慄の日記がさし示すものは何か。
醜悪な現実世界に奇想の作者が驚天動地のトリックの矢を放つ。
【感想】
狂人の妄想としか思えない手記から始まるミステリー。御手洗シリーズ。
序盤から御手洗が登場し、この現実とはとても思えない手記に、
論理的で現実的な解釈を与えていきます。
ここは本当にすばらしかった。ここで一気に引きこまれました。
そしてそのあとはそれに基づいて推理を展開させていき、
過去に起きただろう事件と今の謎を解き明かしていきます。
その気持ちよさと驚きの展開ははさすが御手洗シリーズ。
意味があるとは思えない伏線が繋がる展開も見事。
ページ数はかなりありますが、読みやすくてスラスラと読めてしまいました。
ただ敢えていうならあの序盤に比べると中盤以降はちょっと失速した印象もあります。
構成はすごいけどやや惜しい気もしました。
それでも十分おもしろかったですけどね。
【おすすめ度】
★★★★☆