「塗仏の宴」京極夏彦

【あらすじ】
「知りたいですか」。郷土史家を名乗る男は囁く。
「知り・・・たいです」。答えた男女は己を失い、昏き界へと連れ去られた。
非常時下、大量殺戮の果てに伊豆山中の集落が消えたとの奇怪な噂。
敗戦後、簇出した東洋風の胡乱な集団六つ。
十五年を経て宴の支度は整い、京極堂を誘い出す計は成る。
シリーズ第六弾。
【感想】
京極堂シリーズの6作目。
前半の「宴の支度」後半の「宴の始末」からなる。
前半は6つ別々の物語が描かれていて、
今までのシリーズに出てきた登場人物が少しずつ絡んでくる。
それぞれの話に少しずつ関連性は見えるものの、
直接の繋がりは全く見えてこない。
しかしそれが後半の宴の始末で一気にそれが収束していく。
こういう構成はさすがだし、
それを紐解く結末も見事。
そしてシリーズの登場人物をよく知っているが故に、
ドキッとさせられる展開もあって、それも面白かった。
ただいつも通りだけど上下合わせて非常に厚くてやや読むのが大変だったのと、
今回よく出てくるある設定にちょっと興ざめしてしまった。
なんでもありになると想像の余地が減ってしまって、あまり好きじゃない。
好みはあると思うけど、ここまでの京極堂シリーズを読んできたなら、
その後の話としても楽しめると思います。
【おすすめ度】
★★★☆☆