「果つる底なき」池井戸潤

【あらすじ】
「これは貸しだからな」
謎の言葉を残して、債権回収担当の銀行員・坂本が死んだ。
死因はアレルギー性ショック。
彼の妻・曜子は、かつて伊木の恋人だった……。
坂本のため、曜子のため、そして何かを失いかけている自分のため、
伊木はただ1人、銀行の暗闇に立ち向かう!
第44回江戸川乱歩賞受賞作
【感想】
突然死んだ同僚のことを調べているうちに、
次第に大きな事件に巻き込まれていく金融ミステリ&ハードボイルド。
主人公は銀行で働くサラリーマンなんだけど、
著者が元銀行員というだけのことはあって、銀行内部の描写がものすごくリアル。
きっとこうなんだろうな、と思わせてくれます。
序盤はこのリアリティさと銀行業務のシビアさで、
グイグイ物語を引っ張っていってくれます。
そして中盤以降は一気に話が広がっていくし、
先が気になる展開なのであっという間に読めてしまいます。
結末も含め、しっかり楽しませてくれる作品です。
ただいくつか気になる部分もありました。
いらなさそうな設定とか、終盤の必要以上に激しい展開とか。
あの怖い人はいらなかったんじゃないかって気も・・・。
というわけでちょっと惜しい印象もありますが、
全体としては良い作品です。
おすすめ!
5か迷いましたが4で。
【おすすめ度】
★★★★☆

果つる底なき (講談社文庫)果つる底なき (講談社文庫)
池井戸 潤

講談社
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