「龍神の雨」道尾秀介

【あらすじ】
添木田蓮と楓は事故で母を失い、継父と三人で暮らしている。
溝田辰也と圭介の兄弟は、母に続いて父を亡くし、継母とささやかな生活を送る。
蓮は継父の殺害計画を立てた。あの男は、妹を酷い目に合わせたから。
――そして、死は訪れた。
降り続く雨が、四人の運命を浸してゆく。
彼らのもとに暖かな光が射す日は到来するのか?
あなたの胸に永劫に刻まれるミステリ。大藪春彦賞受賞作。
【感想】
継父を殺してしまった兄妹を主人公としたミステリ。
まず殺してしまってからの緊迫感がかなり強いんですが、
この作品のすごいところは読んでいて辛いことです。
最悪に果てはないのか、と思うほどに落ちていきます。
この兄妹はすごくいい子たちで、
この殺人も同情できる理由で行なってしまったもの。
だからそうせざるを得なかった状況もある意味最悪だっんですが、
そこからもひどい。
次々といろいろなことが起きて、
最悪がもっともっと最悪になっていくんです。
兄妹に感情移入しちゃってたから読んでいて本当に辛かった。
辛いんだけど心を揺さぶられる。
楽しくはないんだけどすごく引き込まれる作品です。
そして後半からは物語の方向性が変わるのですが、
今までがあった分、こちらもかなり引きこまれました。
全体的に暗い気持ちにさせられる作品ですが、
続きが気になってあっという間に読み終えてしまいました。
暗い作品は嫌だ!という人には不向きですが、
それを許容出来る人は是非読んでください。
すばらしいです。
ちなみに最後の部分はそういう可能性もあるよってことでいいんだよね・・・?
【おすすめ度】
★★★★★

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